どんな症状なの?
病院での腸の検査で原因不明にも関わらず、慢性的に下痢、便秘、下痢便秘の交代などの便通異常や腹痛などの症状が持続するものです。発生原因にストレスや心理的因子が密接に関連しているとされ、現代人に増えている病気です。 大腸内視鏡やレントゲン検査などで腸の異常の有無を検査して病変が無いことを確認することは必須であり、検査の結果に異常が無く「過敏性腸症候群」と診断されると治療開始となります。 腹痛、腹部不快感、膨満感、便通異常、下痢と便秘が交互に来るといった状態が一ヶ月以上続きます。特にストレスを感じる場面で症状が悪化する例も多く、人によっては外出の際にトイレに何度も駆け込むことになってしまうなど仕事や日常生活さえままならない状態になってしまうこともあります。また、大腸などの下部消化管の症状だけでなく、胸焼け、胃痛、食欲不振などの上腹部症状や、頭痛や頭重感、めまい、全身倦怠感などの身体症状や抑鬱感、不安感、不眠、緊張感、意欲低下などの精神症状を伴うことも多くあります。
病院ではどんな治療をしているの?
便通改善の為の便秘薬や腸の働きを改善する為の整腸剤の投与、場合によっては精神安定剤が処方されます。精神的要因が大きいような場合には心理療法が併用されることもあります。
鍼灸ではどう考えているの?
ストレスは、胃腸の動きなどを管理しているところ(脾)を弱めてしまうため、胃や腸に変動が現れます。その結果、飲食や排便に異常が出てくると考えます。また、飲食が不調になってくると自身のエネルギー(自然治癒力)によって身体を滋養することが難しくなります。そんな悪循環の中で、精神的にも変化が出てくると回復にも時間が掛かってきます。
治療はどのように進んでいくの?
胃や大腸に関係の深い経絡を使用して、直接的に腸の調子を整えるように働きかけます。また、ストレスにより増悪する患者さんも多いため、精神的にリラックスできるような全身状態を回復させるような治療を行います。